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若宮通りに面した湯浅物産館。築80年、鎌倉市重要景観建築物の一番奥、バザールのようなざわめきのある絨毯屋といなり寿司屋の後ろに、そのコーヒー店はあります。

1S3A2981創業時からあるガラス窓を通して優しい光が差し込む店内。ハンドドリップで入れたコーヒーの芳醇な香りが漂い、小さな中庭では80年前の燈篭の脇で新緑が芽吹いています。ゆったりした時間が流れるカフェ久時は、この建物を守り続けている湯浅さん親子と、支える近隣のスタッフが運営しています。

IMG_3239 ホール係も務める湯浅トキさんは湯浅物産館の名物「おかあさん」。人懐こい笑顔と気持ちの良さで土産物店だったころから店に立ち続けています。
「もともと湯浅物産館は貝細工で成功した先々代が建てたものです。大正時代、先々代は鎌倉の土産物として貝殻を美しく加工した置物などを考案しました。製造、販売し、観光客はもとより、全国の海の近くの土産物店にも卸し、商いを広げました。創業からしばらくして関東大震災が起こり、鎌倉も大打撃を受けました。鶴岡八幡宮の太鼓橋も崩落するほどの激震だったそうです。それを目の当たりにした先々代は『地震に強い建物を建てたい』と、横浜まで大工を伴って通い、震災で残った建築物をお手本にして震災の10年後に湯浅物産館を作ったのです」

IMG_3228この建物は外壁が青緑のモダンなレンガ。通りに面した1階は大きな窓を持つ木製の引き戸、2階部分は美しい6連のアーチ形の窓を持つ洋風、後ろは和風、建物の中心に吹き抜けを配し、天井から直接光を取り込むユニークな和洋折衷型です。建物のいたるところに大正モダンの心意気が生きているようです。たくさんの木製の柱と、明るさを保つためのガラス窓の多用。しなやかで頑丈だけど手のかかる建物を4代にわたる湯浅家の女性陣が土産物商売を続けて維持してきました。

3代目に当たるトキさんのご主人がなくなられた4年前、迷った末にトキさんと息子の弘邦さんは建物を耐震補強することを決断し、一部をテナントに貸しだし、この湯浅物産館を未来に伝えることにしました。木製の柱を間引いて鉄骨に入れ替える作業は、見た目に変化はほとんどありませんでしたが大規模で緻密。通りに面した壁のレンガや木製の看板まで「もと通り」再現され、地元の清興建設が施工した工事は「耐震改修優秀建築・貢献者表彰」を受けました。2階には雰囲気を活かす写真スタジオが入り、オーナーの湯浅さんご家族は、鎌倉のその「古くて新しい」建物の一番奥でカフェを始めることになりました。

1S3A2982 土産物店だったとはいえ、飲食業は初めて。ご家族は数え切れないほどのテストを繰り返して、おいしいハンドドリップのコーヒーとランチのお店 カフェ久時として今年で4年目を迎えました。お店の入り口は4段ほどの段差はありますが、ホール係の女性陣がお子様からご高齢者までをあたたかく迎えてくれます。もちろんベビーカーでもOKです。

1S3A1345 キッチンは息子さんである 弘邦さんが担当しています。新鮮な鎌倉野菜をふんだんに使い、ガツンとボリュームあるおいしいハンバーグやカレーを提供。その懐かしいけどオシャレなこと。
子どものころ待ち遠しかったメニュを、ここでもう一度「み~つけた♪」って感じ。それは、古くて新しい湯浅物産館と似通っている気がします。

1S3A2060 スイーツもセンス良く、見た目以上にたっぷりで香り高いハンドドリップのコーヒーともよく合います。ご近所さんや人力車の有風亭・青木さんも通うほど。親切だけどそっとしてくれる「鎌倉らしい人との距離感」があるからでしょうか。もちろん観光の方も立ち寄っていかれます。

1S3A2980 壁にはアクセントのように美しい貝細工の飾りがあり、天井を見あげると太い梁の奥に当時の電線まで残されている店内。わざとらしいレトロではありませんが、街の喧騒から離れて、鎌倉のちょっと昔にタイムスリップしたような、ほっとできるスペース。オリジナルコーヒー豆の量り売りやテイクアウト、お土産チョコもあります。

カフェ久時(ひさき) 湯浅物産館
鎌倉市雪ノ下1-9-27 湯浅物産館
0467-84-9692
無休(臨時休店あり)

投稿者:CanCan

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2018年05月20日 │ 子連れで食事  │ コメント(0)  twitterでつぶやく

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